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最新情報

新作『ダークユールに贖いを』 4月24日発売!
新作『人狼村の祝祭』4月24日発売!

概要

グループSNE × cosaic。
パッケージ型マーダーミステリー・シリーズ、開幕。
『ソード・ワールド2.5』や『パグマイア』等のTRPGシリーズで知られるグループSNEと『キャット&チョコレート』シリーズで知られるcosaicがタッグを組み、手に取りやすいパッケージ型(箱入り)のマーダーミステリー・シリーズを展開します。第1弾は館&ホラーがテーマの『九頭竜館の殺人』と、マフィアの跡目争いを叙情的に描いた『青い月に何度でも火を灯した』の2作品。今後も続々と新作が発表されていく予定です。

創刊の言葉

  •  こんにちは、安田均です。
     今回、まったく新しいゲームのジャンルが登場します。マーダーミステリーと呼ばれる作品で、プレイヤーたちはミステリーの登場人物としての役割を与えられます。そこから事件が起こり、犯人は誰か、というのを語り合いながら推理していきます。ただし、犯人以外の登場人物たちもいろいろな思惑や事情、目的を持っていまして、それをうまく隠したり、暴露したり、想像したりしながら事件の真相を探っていきます。
     役割は与えられますが、演技はしなくても大丈夫です。いろんな人と会っていろんな話をする、パーティみたいなものと思っていただけると良いでしょう。最後には真実がわかり、自分たちの目的をどの程度達成できたか、誰が一番うまくやったか、を決めるゲームなのですが、非常にリアリティ、臨場感がありますので、終わった後に感想を語り合うと非常に盛り上がります。プレイするための人数を集めるのは大変なのですが、1度遊んでみればその楽しさで病みつきになると思います。
     我々はこれまでRPGでファンタジーをやってきましたが、ミステリー的なものもいろいろと作ってきましたし、グループSNEにはそうしたジャンルが大好きなクリエイターが沢山います。『Mystery Party in the Box』シリーズを展開していく上で、今後もそういったクリエイターたちが手ぐすねを引いて待っていますので、期待しておいてください。
     ぜひ、あなただけのミステリー体験を楽しんでください。

    株式会社グループSNE代表 安田均
  •  こんにちは、安田均です。
     今回、まったく新しいゲームのジャンルが登場します。マーダーミステリーと呼ばれる作品で、プレイヤーたちはミステリーの登場人物としての役割を与えられます。そこから事件が起こり、犯人は誰か、というのを語り合いながら推理していきます。ただし、犯人以外の登場人物たちもいろいろな思惑や事情、目的を持っていまして、それをうまく隠したり、暴露したり、想像したりしながら事件の真相を探っていきます。
     役割は与えられますが、演技はしなくても大丈夫です。いろんな人と会っていろんな話をする、パーティみたいなものと思っていただけると良いでしょう。最後には真実がわかり、自分たちの目的をどの程度達成できたか、誰が一番うまくやったか、を決めるゲームなのですが、非常にリアリティ、臨場感がありますので、終わった後に感想を語り合うと非常に盛り上がります。プレイするための人数を集めるのは大変なのですが、1度遊んでみればその楽しさで病みつきになると思います。
     我々はこれまでRPGでファンタジーをやってきましたが、ミステリー的なものもいろいろと作ってきましたし、グループSNEにはそうしたジャンルが大好きなクリエイターが沢山います。『Mystery Party in the Box』シリーズを展開していく上で、今後もそういったクリエイターたちが手ぐすねを引いて待っていますので、期待しておいてください。
     ぜひ、あなただけのミステリー体験を楽しんでください。

    株式会社グループSNE代表 安田均

作品紹介

九頭竜館の殺人
古い館で開かれた降霊会の翌日。地下室の奥で「魔女の血を引く」と自称する霊能者の死体が発見された。容疑者は降霊会に参加した記者、大学教授、画家、運転手、館の当主などそれぞれ背景の異なる9名。この地に残る「太古に人々を支配した化け物」の伝説は、事件にどんな影を落とすのか?

※少しノスタルジックな雰囲気を持つ作品です。降霊会や「太古の化け物」といった要素があり、クトゥルフ神話をテーマにしたTRPGが好きな人は特に楽しめるはず。

Level: ★☆☆

内容物
・ルールブック1冊
・設定書×9冊
・調査トークン36個
・部屋カード36枚
・使用人部屋カード14枚
・地下室カード3枚
・塔カード3枚
・特別な手がかりカード2枚
・エンディングブック1冊

プレイ人数:7〜9人(GM不要)
プレイ時間:120分
対象年齢:15歳以上
希望小売価格:3200円+税

Author: Giggle Akiguchi
Graphic & Design: TANSAN
何度だって青い月に火を灯した
1960年代、イタリア。跡目争いの火種がくすぶるマフィア・ファミリーの屋敷でボスが殺された。そしてボスの死体の隣には、ロープで椅子に縛られた男が残されていた。ボスの弟や妻、構成員に加え、ファミリーお抱えの占い師や娼婦の行動が複雑に交錯し、事態は混迷を深めていく。

※ハードボイルドなマフィアの世界を体感できる作品です。ボスの不可解な死とファミリーの行く末はどうなるのか。「組織のナンバー2」や「椅子にくくりつけられた男」など個性的なキャラクターの群像劇を楽しむことが出来ます。

Level: ★★☆

内容物
・ルールブック1冊
・設定書×7冊
・調査トークン×35個+予備
・キャラクターごとの初期カード×7枚
・調査カード×72枚
・施錠カード×1枚
・エンディングブック1冊
・それぞれのエピローグ×8部

プレイ人数:6〜7人(GM不要)
プレイ時間:150分
対象年齢:15歳以上
希望小売価格:3200円+税

Author:Yutaka Kono,Shogo Kuroda

Graphic & Design: TANSAN
人狼村の祝祭
人狼伝承の残る小さな村。古から続く祝祭の翌朝、旅の商人の死体が発見された。死体はおぞましくも殴られ、毛髪をむしられ、喉の肉をえぐられていた——あたかも人狼に襲われたかのように。村では2か月前にも鍛冶屋の妻が同様の死体となって発見されている。これは本当に人狼の仕業なのか? 王都から派遣された騎士はどこに消えた? なぜ占い師がふたりいる……?

※いわゆる「人狼ゲーム」の世界観がマーダーミステリーになりました。もし「村人」や「占い師」、「騎士」といった人々が本当に生きていたら? それぞれ固有の人生を持っていたら? という発想に基づいた、豊かな物語を(そしてサスペンスを)お楽しみください。

Level: ★☆☆

内容物
・ルールブック1冊
・設定書×8冊
・調査トークン32個
・部屋カード32枚
・聞きこみカード×10枚
・教会カード×2枚
・特別な手がかりカード2枚
・注釈カード2枚
・エンディングブック1冊

プレイ人数:7〜8人(GM不要)
プレイ時間:120分
対象年齢:15歳以上
希望小売価格:3200円+税

Author:Rihito Sakurai, Giggle Akiguchi
Graphic & Design: TANSAN
ダークユールに贖いを
十年に一度、北の果ての町に吸血鬼たちが集まる。
人間たちをどう扱っていくかを決める大集会の夜、その開幕直前に事件は発覚した。
見つかったのは黒く焦げた死骸。対立する2つの派閥、いずれかのナンバー2である吸血鬼が滅ぼされたのだ。被害者はどちらか? 睨みあう上位の吸血鬼たち。秘めた目的のため、事件解決に挑む新参者たち。見え隠れするヴァンパイアハンターの罠。そして、遠い過去からよみがえる旧き吸血鬼の影。
贖罪を果たしたのは誰なのか……?

※グループSNEのベテラン・友野詳による美しくも残酷な物語を、ぜひお楽しみください。

Level: ★★★

内容物
・ルールブック1冊
・物語のはじまり×1冊
・自己紹介手順×1枚
・設定書×9冊
・調査トークン×36個+予備
・キャラクターカード×45枚
・噂カード×16枚
・現場カード×8枚
・特殊カード×5枚
・不使用キャラクター決定カード×2枚
・不使用キャラクター証言カード×6枚
・エンディングブック1冊

プレイ人数:7〜9人(GM不要)
プレイ時間:180分
対象年齢:15歳以上
希望小売価格:3500円+税

Author:Show Tomono
Graphic & Design: TANSAN
何度だって青い月に火を灯した
1960年代、イタリア。跡目争いの火種がくすぶるマフィア・ファミリーの屋敷でボスが殺された。そしてボスの死体の隣には、ロープで椅子に縛られた男が残されていた。ボスの弟や妻、構成員に加え、ファミリーお抱えの占い師や娼婦の行動が複雑に交錯し、事態は混迷を深めていく。

※ハードボイルドなマフィアの世界を体感できる作品です。ボスの不可解な死とファミリーの行く末はどうなるのか。「組織のナンバー2」や「椅子にくくりつけられた男」など個性的なキャラクターの群像劇を楽しむことが出来ます。

Level: ★★☆

内容物
・ルールブック1冊
・設定書×7冊
・調査トークン×35個+予備
・キャラクターごとの初期カード×7枚
・調査カード×72枚
・施錠カード×1枚
・エンディングブック1冊
・それぞれのエピローグ×8部

プレイ人数:6〜7人(GM不要)
プレイ時間:150分
対象年齢:15歳以上
希望小売価格:3200円+税

Author:Yutaka Kono,Shogo Kuroda

Graphic & Design: TANSAN

遊び方

ここではMystery Party in the Boxシリーズの具体的な遊び方を簡単に紹介していきます。
・メンバーを集めよう
 作品によって異なりますが、プレイ人数は6人〜9人。作品ごとの最大人数でプレイすることをおすすめします。またプレイするためには大きめのテーブルひとつと、全員が軽く動きまわれるスペースが必要になります。10畳程度の広さがあればじゅうぶんでしょう。

・設定書を読もう
 プレイヤーひとりにつきひとりのプレイヤー・キャラクター(PC)が割り当てられます。自分が担当するPCの設定書を良く読みましょう。そこには各自の背景、事件が起きた日の行動、他人に知られてはならない秘密、個人的な目的などが書かれています。当然、真犯人の設定書にはそのPCが犯した罪の詳細が書かれています。
 この際、各プレイヤーは自分の秘密が書かれたカード数枚も確認することになります。
・ルールと背景設定を確認しよう
 適当なプレイヤーがルールブックを読みあげます。本シリーズに特別な進行役は必要ありません。参加者全員がプレイヤーとなり、真相の解明(あるいは隠蔽)にのぞみます。
 ルールブックには作品ごとの舞台、背景、どんな事件が起きたのか、プレイヤーたちはどんな謎を解明する必要があるのか(たいていは真犯人の特定)、といった内容も書かれています。これらをプレイヤー全員で確認し、物語に入りこむ準備を整えましょう。

・調査を行おう
 各プレイヤーの秘密、あるいは事件に関する情報などが書かれた数多くのカードがテーブルに並べられます。各プレイヤーはこうしたカードを各自決められた枚数だけ獲得し、そこから得られた情報、あるいは自分の設定書に記されていた情報をつなぎあわせ、新たな事実に迫ります。この調査パートでは、各プレイヤーは自由に席を立って他プレイヤーとの情報交換やカード自体の交換を行うことが可能です。
 作品によって異なりますが、この調査パートは20分〜30分程度です。

・いったん落ちつこう
 全員で着席し、その時点での自分の推理、意見などを交換します。
 本シリーズの作品はいずれも、基本的にすべての設定書、カード類をオープンすれば全員が真相にたどり着ける構造になっています。ですが、各キャラクターには秘密や独自の目的(特定のアイテムを獲得する、特定の相手を殺害する、など)がありますので、それらを守る、あるいは達成するためには嘘をつかざるを得ません。このジレンマがマーダーミステリーの一番のポイントと言えるでしょう。
 やはり作品によって異なりますが、この「全員による議論」パートは20分程度です。
・もう1回
 上記「調査パート」や「全員による議論」のパートをもう1セット、繰りかえします。

・投票しよう
 真犯人と思われる相手に、全員で一斉に投票します。最多票を集めたキャラクターは拘束され、担当するプレイヤーはゲームから脱落します。これは大半のキャラクターの共通目的である「秘密の解明(真犯人の逮捕)」に関わるパートです。

・アクションを行おう
 各キャラクターは固有のアクション(他人から所持品を奪う、他人を襲撃する、など)を持っています。全員で一斉に、あるいは作品ごとに決められた手順で「アクションの対象となるキャラクター」を決定し、それらのアクションを順番に処理します。自分が求める品物を持っている相手はだれか? 自分の大切な人の仇はだれか? ——こうした情報を調査パートでつかめたか否か、が重要になります。
 これは各キャラクターの個人的な目的に関わるパートです。

・真相と勝敗
 適当なプレイヤーがエンディングブックを読みあげ、そのプレイヤーを含む全員で物語の真相、各自が目的を達成できたか否か、それに基づく勝敗などを確認します。この際、自分の秘密や目的などもお互いに打ち明け、物語の裏側にあった事実の数々を確認します。それが終わる頃には全員が物語の世界にどっぷりと浸かっていることでしょう。
 マーダーミステリーは勝敗を決めるゲームではありますが、いちばんの目的はプレイヤー「全員で」ひとつの物語を作りあげ、「全員で」その世界を楽しむことです。個人の勝利にこだわって、あるいはロールプレイにこだわって情報を出し渋ったりしないよう注意しましょう。

制作陣による解説:ダークユールに贖いを

○『ダークユール〜』はロールプレイが楽しい!

秋口:約5か月ぶりのMystery Party in the Boxシリーズ発売ということで、また制作陣による対談を行っていきたいと思います。
友野&桜井:よろしくお願いいたします。
秋口:『人狼村の祝祭』についてはマーダーミステリー専門店〈フーダニット〉や東京のボードゲームショップ〈ディアシュピール〉さん、〈ジェリージェリーカフェ〉さんですでに先行公演が行われていますので、今回は『ダークユールに贖いを』についてのみ語っていきましょう。まずはプレイしてみての感想ですが……。
桜井:キャラクターのロールプレイが楽しかったです!
秋口:それは、ほかの作品と比べてもより楽しかったということ?
桜井:ほかのより、わかりやすくて、やりやすかったですよ。
秋口:キャラクターは、みんな吸血鬼を名乗ってますよね。ほかの作品よりもキャラをつかみやすかった、個性がきわだっていた、ということでしょうか。
桜井:クセがあるから、振り切りってできた気がしますね〜。
友野:そこは狙ったところです。ありがとうございます。
秋口:そうか、同じ吸血鬼でも、いわゆる「ドラキュラ」みたいなイメージばかりではない。パンクがいたり令嬢がいたりと、ディフォルメが効いている。
友野:じつは、基本的に全員、モデルがいます(笑)。
桜井:見た目の設定も細かかったですよね。金髪だとか黒髪だとか。とりあえずみんな美形だったという認識ですけど。
友野:吸血鬼は美しくなくてはいけないのです。ノスフェラトゥをのぞいて。
桜井:ひとりだけがイケメンです。ってなってると選ぶのにちょっと勇気いるかもしれませんけど、ほぼ全員美形です、とまで振り切られているので、物語の世界にどっぷりだなって感じしますよ。私は〈フーダニット〉で『ダークユール〜』のGMをやっているのですが、キャラクターの名前を見ただけで「これやりたい!」となるお客さんも多いですね。
友野:キャラ名も気を使いました、けっこう。
秋口:キャラが立っているからロールプレイしやすい。独特の世界観なのにすっと入っていける、いきなり全力で世界にひたれる、ということですね。そして、その世界がとにかく格好いい。
友野:とにかく好きな吸血鬼ものを引用しまくって、組み合わせただけですけれどね。……という言い方は良くないかな?(笑)
桜井:ロールプレイのしやすさについてですけど、吸血鬼社会にはランキングがあるから、というのもありました。メンバー内のランクが高い伯爵には、ほかのキャラも自然と気を使ってしまったり。逆に、新参者には厳しかったり。
友野:そこは「TRPGのベテラン」として気をつかったところですね。設定がロールプレイにつながりやすい&ロールプレイがロールプレイを喚起する。
秋口:「ロールプレイがロールプレイを喚起する」、名言ですね。
○アクションも楽しい!

秋口:たしかにランキング、いいですよね。ロールプレイしやすさにもつながるし、吸血鬼の世界らしさも出てました。それに加えて、ラストのアクションにも関わってきますよね。
友野:設定とアクションをどうつなげるかを考えました。ゲームで高得点を狙うのと、ロールプレイの感情に基づく素直な行動が、スムーズにつながるといいなと狙っていたのですが。なので、(ランキングの)上位陣は上位陣らしく、それ以外はそれ以外らしく。
秋口:キャラクターのパラメータに「強さ」と「速さ」がありますよね。ランクが高いほうが強くて速い?
友野:基本的にはそうです。
桜井:プレイしていて、「自分は上位だから強いと思うが、はたして速いのだろうか……?」とかは悩みました。
友野:それは嬉しい(笑)。情報を集めることで自分のランクはある程度見えるはずで、さらに、「強さ」は武器の選択などによって強化を狙えるんですよ。でも速さは強化できないので、「どうしたところで先手を取られるとどうしようもないかも……」の不安を持ってほしかった。あと、感想戦でそのへんの数字を比べた時に「げげーっ」って言ってほしい(笑)。
桜井:アクションのときに、「私は思いあがっていた…」となりました(笑)。真相にたどりついていればわかっていた結末も、たどりつけていなかったときに、アクションであああ〜〜〜わかった〜〜〜ってなるとこありますね。
秋口:なるほど。基本的に吸血鬼ばかりという、いわば「戦闘種族ばかり」のシナリオゆえに、プレイ中は「強さ」「速さ」のさぐりあいも発生する、集めた情報の厚さによって行動の対象や種類が自然と変化していく、という構造ですね。
友野:はい。そして、アクションで「は?」と驚いて、そこでドラマが盛り上がってほしい、と思いつつ目的と可能なアクションをキャラごとに組んでいってます。ちなみに驚く、というのは。「そいつが対象なの?」「うわ、そっちかー」みたいな。
秋口:各キャラのアクションの相関については、かなり綿密に組み立てていますよね。
桜井:(アクションは)それぞれのプレイヤーがひとりで判断を下さないといけないから、悩む〜ってなってしまいますね。犯人を捜す、の部分では他人と協力できても、自分の目的は自分だけのものなので。
友野:最終判断はひとりで、はMystery Party in the Boxシリーズ全体で共通している要素だと思います。『ダークユール〜』の場合は「パートナーを信じきれるか」という要素も入れてみました。
秋口:自分の秘密をフルオープンにしてもそれほどデメリットがないゲームってわりとあるんですけど、SNE/cosaicのシリーズは、それは絶対にないですからね。密談の中で「信じられる相手」を本気で探さなくちゃならない。
友野:協力と競技を両立させることで生まれるドラマ、というのがこのシリーズの醍醐味なのでは。
○雰囲気作りの工夫

秋口:桜井さんはフーダニットで『ダークユール〜』のGMをされているわけですが。お客さんの反応などで印象に残っているものはありますか?
桜井:吸血鬼社会のルールを最初に読み上げているのですが、あのあたりで、皆さん世界に入り込んでいく雰囲気があります。あとは、プレイが始まると、最初に同じ派閥の人と話している気がします。
秋口:やっぱり世界の没入感と入りやすさが際だってますねー。
友野:最初の読み上げと自己紹介手順は、けっこう気を使いました。あと、GMレスでプレイする場合は、誰が進行の合図をするのか、とかも。
秋口:そうか、パッケージ版はGMレスなんですね。
友野:GMがいたほうがスムーズでしょうけどね。だからこそ、いない場合にどうするかを「誰か」ではなくて「この役の人が」と指定するようにしました。基本は伯爵ですが。
桜井:推理や調査といった大事な場面では、上位の伯爵がまとめるしかない。相手は吸血鬼のような、すぐ殺し合いを始める奴らなので。でも自己紹介といった些細なことは、ちょっと下の、オーナーが担当する、といったところですよね。
秋口:それだけでも自然と自分のランキング、力関係などが見えてきますね。
友野:あとは、エンディングを誰が読むかも、エンディングの分岐先ごとに変えました。
桜井:マルチエンディングが過ぎますよね。10種類以上に分岐してます。
秋口:分岐先によってエンディングテキストを読むプレイヤーが異なる?
友野:異なります。いろんな結末がありますし、特定のキャラクターが死亡している可能性がありますので。
秋口:たしかに(笑)。10種類以上のエンディング、ぜんぶ読みたくなりますね。
桜井:基本は愛の物語ですよね。愛する人の……以下ネタバレのため削除(笑)。
友野:吸血鬼ものというか、不死者ものは、苦みの味わいが必要だという信念がありまして。不死者ならではの悲哀が描けないか、と念じて書きました。

○さいごに

秋口:では最後に、ユーザーの皆さんへメッセージをお願いいたします。
友野:私は、とにかく吸血鬼という存在が好きで、その愛を目いっぱいこめたのが『ダークユールに贖いを』です。これをプレイできるみなさんが、うらやましくてうらやましくてしょうがない、というのが本音ですね。できることなら、9回ほど生まれ変わって、全キャラで遊んでみたいのですが、そういうわけにはいきませんので、私に代わってめいっぱい楽しんでいただいて、機会があれば感想をお聞かせいただければ、とても嬉しいです。よろしくお願いします。
秋口:本日はありがとうございました。
友野&桜井:ありがとうございました〜。


(語り手)
友野詳:
作家/ゲームデザイナー。代表作に〈ルナル・サーガ〉シリーズ、〈コクーンワールド〉シリーズ、〈央華封神〉シリーズ、〈妖魔夜行/百鬼夜翔〉シリーズなど。テーブルトークRPGのワールドデザイン、リプレイなどに定評がある。

秋口ぎぐる(川上亮):
作家/ゲームデザイナー。株式会社コザイク代表。主な作品にカードゲーム『キャット&チョコレート』シリーズ、映画化&漫画化された小説『人狼ゲーム』シリーズ等がある。

桜井理人:
マーダーミステリー専門店〈フーダニット〉オーナー。マーダーミステリー『人狼村の祝祭』が初作品。小説『人狼ゲーム』シリーズ全作品の監修も務める。好きな言葉は、スポーツマンシップと紳士協定。

制作陣による解説:九頭竜〜&青い月〜

○『九頭竜〜』について

秋口:僕ら、お互いに『九頭竜〜』も『青い月〜』もプレイしているので、まずはそれぞれの作品を遊んでどこがおもしろかったか、を言い合ってみない?

黒田:ではまずは『九頭竜〜』の話からしましょうか。

河野:『九頭竜〜』の世界観は、ちょうどフィクションとリアルが交じり合っている感じで、遊び心地が快適ですよね。ノスタルジックな美しさの中に、おどろおどろしさというか奇妙さがある。

黒田:いかにもな塔や古めかしい屋敷って良いですよね。そういったレトロな世界観をいかにもなキャラクター越しに見るのがたまらないです。

河野:クトゥルフものが好きな人に加えて、江戸川乱歩辺りの雰囲気が好きな方にも非常にお勧めできます。

黒田:自分の初めてのマーダーミステリーが『九頭竜館の殺人』だったわけですが、今思い返せば、初めてがあの作品で良かったなと感じています。理由は、あらゆるものが丁度いい(笑)。具体的なことを言うと、設定書の量が程よい感じなんですよね。長いものだと覚えきれないことがあるし、何より間違った情報を伝えやすいんですよ。その点、『九頭竜〜』は情報が凝縮されてるので、凄く遊びやすかったです。

秋口:でもそれだと、キャラごとの設定書が短いマーダーミステリーはぜんぶ遊びやすいことになっちゃう……。

黒田:いやいや、しっかり『九頭竜〜』にはギミックもあります。いらないことが書いてないのが良いってことです。

河野:濃密な内容が少ない情報量に圧縮されているからよい、ということですよね。カード1枚にしても、自分が不利になるカードも有利になるカードもしっかりあって、それぞれ上手く使うことを考えるのがゲーム的な面白さなんだけど、その「上手く使うことを考える」というのは作中のキャラクターの心情とリンクしているので、物語的にも自然でわかりやすい、という。

黒田:なんというか、作り手の視点なんですが、遊びやすいように作ってるな〜ってのを感じるんですよ。

河野:情報が圧縮されている、という意味では、プレイヤーの葛藤のバランスもちょうどよかったような気がしました。ネタバレになるので調整が必要な言い回しですが、「犯行の動機は、現実なのか怪異なのか?」の二択をまず考えるような作りになっている気がします。私はそう受け取りましたし、雑多な情報から正解を探すというわけではなく、ほどよく情報を絞り込む選択肢がサポートとして現れる感じでした。

秋口:テキストをコンパクトにまとめる、という点に関しては、『九頭竜〜』は、ルールブックも含めて徹底していると思う。とにかく「その場でルールを開いて、すぐに始められる」「実際のプレイ開始までの時間が短ければ短いほどいい」というコンセプトで作ったので。

河野:実はそこが、『青い月〜』との大きな違いですね。

黒田:ほかのマーダーミステリーにない要素と言えば、やっぱりアクション部分。くわしく言えないんですが、あそこはあそこでドラマがあってめちゃめちゃ好きです。いろんなやりとりがあって、だれかを(真犯人として)拘束して、最後にアクションで「ええええ!?」ってなる。

秋口:「指定したキャラを殺す」とか「指定したキャラからアイテムを奪う」といった個別のアクションがキャラごとに設定されている、いちばん最後にそれらの解決フェイズがある、という部分だよね。有名な中国のマーダーミステリー作品『王府百年』にもそういう要素はあるんだけど、「だれがどんなアクションを持っているのか、蓋を開けてみるまでわからない」という形ではなかったはず。

黒田:あれが自然と、嫌みなくキャラクターの行動指針になってるんですよね。

河野:指針になる、というのはすごくよくわかります。他プレイヤーのアクションが気になりますし。ゲーム的にも物語的にも重要なことが目にみえているので、「最後までどうなるかわからないドキドキ感」がありますね。

黒田:ぶっちゃけ最初に『九頭竜〜』をプレイしてなかったら、『青い月〜』にもアクションという概念は入っていなかったと思います。

秋口:「誰を信じるのか?」を見極める楽しさがほしいんだよね、マーダーミステリーには。自分以外の全員をだます、あるいは全員を信じる、じゃなくて、ちゃんと「こいつだけは信じて話そう」「こいつだけは信じちゃだめだ」のメリハリのあるシナリオ。これが美しいと思っていて、アクションはそれを生む——というか、それがないと成立しないシステムなので、わりと気に入ってる。

河野:そこなんですよね、味方だと信じるの楽しいですよね。もしも裏切られたとしても。

黒田:仲良かった奴にアクションで裏切られる、みたいな(笑)。あとは、これを言うと怒られちゃうかもですけど、終わった後の納得感が『九頭竜〜』は高かったですね。

河野:小説を書いている側からすると、プロット的に「成立している/していない」というのはどうしてもあって、ほかの作品をプレイしたときに「成立していないとまでは言わないけれど、もうちょっと力を入れた方がよい部分があるんじゃないかな」という疑問は生まれがちですね(笑)。

黒田:最後の感想戦で「ここをこうするべきだったのか」タイプと「これ無理やん」タイプとでは雲泥の差がありますからね。

河野:『九頭竜〜』にはそういった疑問がなく、しっかり没入感を保ったまま終われる、というのは確かな魅力だと思います。

秋口:マーダーミステリーって群像劇じゃない? シナリオを作るときに、ぜんぶのキャラに動機を持たせる、そのうちひとりだけが物理的に殺害可能だったことにする、みたいな形式にすると、すごく楽ではあるんだよ。でもそうじゃなくて、中心となる大きなストーリーの流れがいくつかあるようにしたいな、というこだわりは持って作ってる。それが最後の納得感につながったならうれしいな、と思うけど。

河野:マーダーミステリーって、ゲームとして、どうしてもある種のアンフェア感は必要なんですよね。犯人があからさまに特定されるべきではないので。そのとき、「ぼんやりわかりにくい」とストレスになってしまいますが、『九頭竜〜』はより明確な葛藤がある(あいつは〇〇で怪しいし、別のあいつは××で怪しい)ので、外れたとしてもあとで納得しやすい、というのはある気がします。

黒田:そのふたつのストーリーラインにプレイヤーが翻弄されるんですが、自分のキャラクターはそれどころじゃなかったりして、それはそれでまた面白いですよね。ひとつの事象が見るキャラクターによって違う、というのがいい。

河野:やっぱりゲーム終了時に振り返って全体を見渡す気持ちよさがマーダーミステリーにはあって、今回の2作は共にそこをしっかりやってる気がします。

秋口:僕は、マーダーミステリーは、自分以外のぜんぶのキャラの事情は、プレイ中にはわからなくていいと思っていて、プレイ後に「あーそうだったのかー」「君たちにはそんな事情があったのかー」で盛り上がれるのが楽しいと思ってる。

河野:まったく同感です。そこを『九頭竜〜』はしっかりやりきっているなと感じます。

秋口:ありがとう(笑)。もちろんそこは『青い月〜』もしっかりやりきっていて……では、そちらの話に移ろうか。
○『青い月〜』について

秋口:『青い月〜』』は、河野くんと黒田さんの共作だよね。

河野:ルールのベースは黒田さんが作ったものを引き継いだのですが、それのベースは『九頭竜〜』なので、なんか表現が難しいですね(笑)。

黒田:河野さんがお話をメインで進めて、それを自分がサポートする形で作っていった感じです。そもそもマフィアもの、というのはグループSNE代表の安田のアイデアでした。

河野:黒田さんと一緒に組んで物を作るのは初めてだったのですが、非常にバイタリティがある方だなという印象でした。作品内容に関しても黒田さんが作っている部分も大きいのですが、短時間でテストプレイをかなりの回数行っていただけたなどの部分でも、黒田さんがいなければ作り切れなかっただろうと思います。

黒田:最初にストーリーを読んだとき、『河野裕、天才やな』って思いました。ガチで(笑)。まず惹かれたのはそれぞれのキャラクターですね。どのキャラも愛おしいというか、それぞれがちゃんと目的をもって「生きてる」って感じがしました。

河野:キャラクターがある程度自然であることは、『九頭竜〜』でも強く感じたのですが、『青い月〜』はテキスト量が増えることを、ある程度躊躇しない方向で作ったので。細部を書き込んでいるぶん、「キャラクター同士の行動や目的があとから噛み合う感じ」を出しやすいのではないかと思います。

秋口:キャラの行動や目的が絡み合っていく感じ、物語の作り手としての性質もあると思うんだよ。ミステリーって、本格とか新本格寄りの、物理的な方向から犯人や犯行方法を絞っていくタイプと、ハードボイルド寄りの、キャラの背景情報から真実に迫っていくタイプに、大まかに分けられると僕は思っていて、河野くんは後者が好きじゃない?

河野:明らかに後者が好きです。たとえばあるキャラクターが、〇年前に××をした、という情報があったとき、ストーリーの本筋には関わらないとしても、同じ〇年前に起こったことをまとめると、その××した動機が想像できる、という風な部分に拘りました。

秋口:僕もそうなんだよ。だから、『九頭竜〜』のときも「プレイ後の納得感」の話が出たけど、背景情報から来る納得感って絶対にあると思う。

河野:そうですね。でもやっていること自体は、『九頭竜〜』の方が「コンパクトにまとめる」という目的を持っているから、一段難しいように思います。反対に『青い月〜』は、「情報が増えても良い」という割り切り方をしているので、より細かなフックが多いかなと感じています。

秋口:その細かなフックが効いてる。マフィアものって言われると、素直に作るとカネ、力、欲望……みたいな話になっちゃうんだけど、『青い月〜』はリリカルじゃない? あんまり書くとネタばれになるけど。そこが魅力だし、河野くんが書く意味のある作品にしっかりなってるなーと感動した。

河野:ありがとうございます。ただ『九頭竜〜』の方が、よりゲームとストーリーのバランスがいいですよね。『青い月〜』は、私が体験したい物語を作ったので。

黒田:『九頭竜〜』の方がゲーム的で『青い月〜』はストーリー的な側面が強い印象ですね。

河野:『九頭竜〜』は、からっと遊べるのがよいと思います。悪役側の人間が、楽しく悪役をできるなーと思いました。私は悪役に、「ああ悪いことをしたな」と思わせたかったので、正直なところゲームのプレイングキャラクターとしてどうなのという気持ちもあります、笑。もちろんどう感じるのかはプレイヤー次第ですが……。

黒田:『青い月〜』は他のマーダーミステリーにくらべて特に、キャラクターに感情移入しやすい作りになっていると思いましたね。テストプレイヤーが最後しんみりするところをよく見かけたので(笑)。

秋口:だからリリカルだし、それがいいんじゃない? 『九頭竜〜』はたしかにゲーム的だし、漫画的なんだよね。悪人は「そのとおり、私が悪人だったのだよ。わーっはっは!」みたいなノリ……だと思う。たぶん。一方、『青い月〜』はブンガク。

河野:『九頭竜〜』はそこも良かったし、だからこそゲームとして遊びやすい。『青い月〜』は、そうですね、カタカナのブンガクがちょうどよい感じの(笑)。私もシリーズ第1弾のメインを作る、という目的意識なら、もっと『九頭竜〜』と同じ方向に寄せる葛藤があった気がします。すでに秋口さんのものを遊んでいたので、同時発売のもう一作は少し好きにやっていいんじゃないかなという気持ちで作りました。

黒田:『青い月〜』はあと、やっぱりエンディングですね。今まで遊んだマーダーミステリーの中で一番いいです。

河野:あえてゲーム展開におけるルート分岐をなくして、各プレイヤーに個別のエンディングを用意する形にしました。同じエンディングの文章を読んだとき、ゲーム展開次第で感じ方がまったく違っているといいな、と思っています。

黒田:それぞれがそれぞれの道を歩んでゆく感があって、それが凄く良くて、寂しかったですね。

河野:『青い月〜』は、基本寂しいゲームなんですよね。人が死んでるんだからそりゃ寂しいだろ、という思いが私にはあったので。寂しさを受け入れる覚悟で遊んで欲しいです。

秋口:悪人が「ああ悪いことしたな」と感じる、と言ってたけど、それが後味の悪さじゃなくて、あのエンディングブックのおかげで、ちょうどいい感じの余韻につながってるんだよね。

黒田:ぞれぞれの人生がどうなったのが気になるって、それだけキャラクターに愛着がわいてるってことなんで、そんなマーダーミステリー今までなかったなと感じるんです。一種体感型ドラマだと言ってもいい。

秋口:ゲームのプレイが終わってから、ゆーっくり時間をかけて現実へ浮上してくる感じなんだよ。それはたしかに、いままであまりなかった。

河野:ありがたいですねー。私は個人的には、プレイ後にはふっとキャラクターから離れて、物語の全体像をみつめてもらえると嬉しいなと思っています。なにか感じるところのある物語になっていると嬉しいです。

黒田:ちょっとギミックの話します? 『青い月〜』は、『九頭竜〜』よりギミックもくどい。たとえば、アクションは途中で形が変わりましたよね。

河野:大きく変わったのは、アクションのイニシアティブをキャラクターではなくアイテムが持つようになったところですかね。どちらも一長一短で、最後まで悩んでました。こちらの方がより気持ちよいだろう、というバランスを取れたと信じています。

黒田:実は初期カードも珍しいギミックですよね。

河野:ゲーム内のギミックにおいても、ちょっとややこしいルールを受け入れていただく代わりに、他のマーダーミステリーにはない体験を細々と作れているかな、と思います。

秋口:細かいギミックがいろいろあるのに、ゲーム的だ、と感じさせないのは、やっぱりストーリーの力だろうねえ。

黒田:ストーリーに則した特殊能力だったりするので、比較的すんなり受け入れられられるんじゃないかなと思います。
○マーダーミステリーの魅力

秋口:最後にマーダーミステリー自体のおもしろさ、魅力について話そうか。僕らはべつにグループSNEから依頼されて今回のシリーズを作ったわけじゃないじゃない? 自分から勝手に、作りたくて作った。マーダーミステリーはなぜ僕たちを、そして多くの人たちを、ここまで魅了しているのか。

河野:ひいた目だと、いろんな面白みが詰まっているからではないか、という気はします。謎を解こうとしてもおもしろいし、物語を体験しようとしてもおもしろいし、議論というか、いわゆる口プロレスのような遊びが許されるシステムだし。

秋口:よく「脱出ゲーム、人狼ゲームの次に来るかも!」みたいに言われるんだけど、要するにそれらと共通するものがある、ということだよね。河野くんが言うように、謎解き要素もある、人狼的な正体隠匿や議論の要素もある。そして、それらのジャンル以上に物語要素が強い。

河野:間違いなく謎解きや人狼よりストーリー面は強いと思います。

黒田:メインはやっぱり会話なんで、ゴールはあるんだけどそれをどう伝えるか、何を伝えないか、それに自然と物語性が絡んでくるというか。

秋口:あとは、謎解きや人狼よりも初心者にやさしいんだよね。マーダーミステリーはシナリオごとに条件が異なるので、もちろん慣れ不慣れはあるんだけど、経験者と初心者がフラットな立場で遊べる。

河野:今後、どうなるかわかりませんが、少なくとも今のところは初心者に優しいですねー。

黒田:セオリーがないのが良いですね。シナリオごとに状況が変わるので。

秋口:黒田さんの言う「ゴールはあるんだけど」に関わるんだけど、勝敗はあるけど勝敗にこだわるな、みんなで物語を作りなさいよ、が、いちおういまのところ共通認識になってる。だからやさしい。そして、やっぱり黒田さんが言ってたことだけど、物語性が強いからこその没入感。

河野:わりと勝敗に拘る層もいるらしいので、その点への悩ましさはありますが……。私は、明らかに勝敗にこだわらない方が面白いと思っています。

黒田:「物語を作る」って部分はこれから遊ぶ人たちにプッシュしていきたいポイントですよね。競技性を高めるのではなく。理念はTRPGで、ルールは人狼と謎解きみたいな感覚かもしれません、マーダーミステリーって。

河野:物語性を高めた謎解きゲームであり、物語性を高めた人狼的正体隠匿ゲームであり、(即興性に対しての)物語性を高めたTRPG、みたいな感じはあります。初めて『九頭竜〜』でマーダーミステリーに触れたとき、「私にとってのTRPGの理想形はこれなのではないか?」という感覚でしたね。ここまでシナリオが主導権を持っても自由度を担保できてるのがすごい。いわゆる、吟遊詩人GMよりもゲームが語ってる気がするんですが、それを感じさせないというか、まったく嫌じゃない。

黒田:なによりも、「ここまでストーリーが作り込まれているシナリオをTRPGで遊ぶのは意外にむつかしい」という気がします。

秋口:そうなんだよね。そこが作家心をくすぐられるのかもしれない。TRPGはその自由度ゆえに、GMの想定していない方向へ物語が展開することもあり得る。で、それを無理に阻もうとするといびつなセッションになる。でもマーダーミステリーは自由度を阻害される感覚はまったくないのに、最終的にGMの、つまりは作家の理想とする「美しい」結末へと収束する。それが、書き手としては気持ちいい。

河野:はい。なので、いい感じに「ストーリーに乗せてもらっている感じ」が気持ちよかったように思います。

秋口:「キャラごとの設定書とカードで用意されている以上の情報はない」という前提で、それを受け入れた上で各プレイヤーが動くから、GMの想定外の行動や要求が生まれないのか。

黒田:自由じゃないけど自由に思えると。

河野:すべてが自己責任に帰結している感じも、不満の少なさかもしれません。判断と結果が、ちゃんと設定およびストーリーで物語面から説明されているのがいいですね。

秋口:最近、いろんな作家さんから「自分もマーダーミステリー書いてます」「書いてみたいです」みたいな話を聞くんだけど、わかる気がするね。僕らはTRPGの業界で活動していたので、プロットを作る、それをもとにプレイヤーたちに動いてもらう、という過程をすでに経験してるじゃない? 作家にとって「理想的な1本のルートを文章で書く」をしなくても物語を完成させられて、プレイヤーという最初の読者たちを楽しませられる。その快感が得られるので、作家にとっては創作意欲が刺激される媒体なんだろうなーと思う。今後、どんどん素晴らしい作品、物語が生まれてくるんじゃないかな。

黒田:楽しみですね。


○さいごに

秋口:最後に一言ずつ、なにか締めの言葉を。

黒田:両作品とても上質なマーダーミステリーに仕上がっていると思います。どちらもテストプレイを何回も行ってきましたが、最終的にどちらも胸を張って面白いと言える作品に仕上がりました。ホラーテイストで味わいのある世界観の『九頭竜館の殺人』、ハードボイルドでどこか切ない『何度だって青い月に火を灯した』。共に違った良さがあるので、ぜひお楽しみください!

秋口:また『青い月〜』の話になっちゃうけど、とにかく良いんですよ。「またこのコンビが作ったマーダーミステリーをプレイしたい」「このコンビが作る次のシナリオを体験したい」と心から思える作品。SNE/cosaicのマーダーミステリー・シリーズは作り手の愛とこだわりを存分に感じてもらえると思うし、今後も同じクオリティを維持していくので、ぜひ期待して、全作品をプレイしてほしいです。

河野:マーダーミステリーって、作り切るのはかなりたいへんだという印象でした。卓ごとに本当に展開が様々のに、同じプレイヤーには遊んでいただけないので、とりかくテストプレイがたいへんです。『青い月〜』も二桁の回数のテストプレイをやっていますし、『九頭竜〜』はもっと多いと思います。現状で、ここまで作り切っているシリーズ、という意味でも、二作共ぜひ遊んでいただきたいです。

秋口:ではでは、今日はありがとうございました。

河野&黒田:ありがとうございました!



(語り手)
秋口ぎぐる(川上亮):
作家/ゲームデザイナー。株式会社コザイク代表。主な作品にカードゲーム『キャット&チョコレート』シリーズ、映画化&漫画化された小説『人狼ゲーム』シリーズ等がある。

河野裕:
作家/ゲームデザイナー。主な作品に映画化、漫画化、アニメ化された小説『サクラダリセット』シリーズ、映画化、漫画化された小説『いなくなれ、群青』シリーズ等がある。

黒田尚吾:
ゲームデザイナー。グループSNE所属。主な作品にカードゲーム『知ったか映画研究家』シリーズ、海外版も制作されたボードゲーム『デモンワーカー』等がある。ボードゲームカフェ『B-CAFE』のオーナーも務める。


お願い

※店舗利用について
 本作は個人による購入を前提に制作されています。本作の内容をサービスとして提供したいボードゲームカフェさん、プレイスペースさん等は、1プレイごとに1パッケージのご購入ならびにご開封を謹んでお願い申しあげます。
 プレイ後のパッケージについては、たとえばゲームに勝利したプレイヤーにプレゼントするなど、自由にお取り扱いいただいて問題ございません。


※プレイ動画、リプレイ等について
 マーダーミステリーというジャンルの性格上、本シリーズの作品はいったん内容を知ってしまうと以降はプレイを楽しめなくなります。プレイ動画やリプレイ記事の配信やアップロードはできるだけやめていただきますようよろしくお願い申しあげます(ネタバレを含まない紹介については大歓迎です)。
 どうしてもプレイ動画、リプレイ記事等を作りたい方は下記に記載されておりますアドレスまでご連絡くださいませ。


 ご協力のほど、何卒よろしくお願い申しあげます。

エラッタ

『人狼村の祝祭』に関しまして、あるキャラクターの設定書に”森で商人の死体が発見された”と書かれていますが、これは”宿屋で商人の死体が発見された”の誤りです。記述にかかわらず、商人の死体は「宿屋で発見された」もとしてプレイしてください。
『ダークユールに贖いを』に関しまして、従僕のプレイヤーのみ、ゲーム開始前に下記をご確認ください。
『何度だって青い月に火を灯した』に関しまして、ロープマンのプレイヤーのみ、ゲーム開始前に下記をご確認ください。
『何度だって青い月に火を灯した』に関しまして、ブラザーのプレイヤーのみ、エンディングフェイズに入ってから下記をご確認ください。